W杯を終えた考察

こんにちは、代表の広瀬です。

11月20日~12月18日まで約1か月間、
ワールドカップをご視聴の皆さん、お疲れ様でした!

やっと1か月間の寝不足から解放されますね!
グループリーグの試合は①19時~➁22時~③1時~④4時~と
同じ日に4試合するので、1日どれだけ頑張っても3試合が限界でした(笑)

今大会は、新たに半自動オフサイドテクノロジーが導入されて、
副審の存在が疑問視されたり、PKか否かという場面で、VARが発動されずに
プレーが流れるなど、判定が波紋を呼ぶ場面も多く見られました。

ただ、大会全体を通して、ファウルを吹く回数が少なく、
VAR以外の場面ではプレーが止まることも少なかったです。
おそらく、アディショナルタイム(ロスタイム)がアシスタントレフリーによって
正確に測られることになって、勝っているチームが時間稼ぎで、痛がってプレーを止めることが
無意味になってしまったことも影響していると思います。
今大会では、ロスタイムが6~10分程度と極端に多く、今後の国際大会もこういう試合が
増えていくのだろうなと思いながら見ていました。

審判団の中でも、なるべくファウルは吹かないでおこうという共通認識があったように思えました。
だからこそ、選手がファウルをアピールする機会が減って、試合が荒れることも少なかったのだと思います。
(アルゼンチンVSオランダみたいに荒れに荒れた試合もありましたが…)

 

決勝はアルゼンチンVSフランスのカードで3-3の同点で、PK戦に進み、アルゼンチンが優勝しました。
あっという間の1か月でしたが、色々な国がそれぞれのスタイルを持っていて、
国際試合の面白さを毎回実感しています。

今大会を終えて私が注目したいことは、サッカースタイルの潮流(トレンド)と呼ぶべきものが
今大会で明らかに潮目を迎えているということです。あえて変な言い方をしましたが、
要は強い国がするサッカーが周期的に変わりつつあるということです。

サッカーの戦術は4年に1回のW杯ごとに徐々に変わりつつあります。
イタリア代表はかつて「カテナチオ」と呼ばれる、リベロがディフェンスラインの後ろに1人入ることで
ディフェンスラインの後ろをカバーできる非常に強固な守備を戦術としたサッカーが代名詞でした。
しかし、オフサイドが取れない、攻撃時にサイドバックが上がりづらく、サイド攻撃が難しいなどの理由から
現在この戦術を使ったサッカーをしているチームは絶滅しました。(私の知る限り)

リベロがなくなり、カウンターに力を注いだ戦術となっていきました。

2018.07更新】あれから12年...2006年W杯優勝メンバーは、今 ...

2006年のイタリア代表はそんな中でも、伝統的な守備の強度とサイド攻撃に厚みを持たせ、
W杯を優勝しました。

 

2010年のスペイン代表は、ポゼッションサッカーが有名ですよね。中盤にシャビ、イニエスタ、ブスケツといった
FCバルセロナの中盤の選手がそのままスペイン代表でも中盤を担いました。

スペイン(1):時事ドットコム

圧倒的なボール支配率でゲームを優位に進め、最後はフォワードのビジャやフェルナンド・トーレスなど
得点力のある選手が決めきるサッカーで2010年のワールドカップに優勝しました。
多くのチームが採用しているゾーンディフェンスは、人をマークするのではなく、
スペースを埋めるというディフェンスで、一番効果的な守備だからこそ多くのチームが採用しています。
ポゼッションサッカーはそういったスペースの間にボールを出し入れして、
ゾーンディフェンスの陣形を崩していくサッカーで
個人の卓越した技術がチームとして揃っていないと不可能です。

スペイン代表選手の特徴として、身体の線が細く、中盤から前線の選手は特にその傾向が顕著です。
日本人選手の体形にも似ているという特徴があり、スペイン代表のようなサッカーを目指すべきだという
声が日本サッカー協会を中心に上がり始めたのもこの時期でした。

それからの日本代表は2010~2014年の4年間でポゼッションサッカーに取り組み、
コンフェデレーションズカップや親善試合でイタリアやオランダに善戦することも増えました。
そうして臨んだ2014年ワールドカップでしたが、コートジボワールに1-2で敗北、ギリシャに0-0で引き分け、
コロンビアに1-4で敗北とグループリーグで姿を消しました。
2014年のワールドカップ優勝国のドイツも、ポゼッションサッカーでした。
攻撃にかける人数に厚みを持たせながらも、GKノイアーがいることで、ディフェンスはハイラインで
コンパクトな守備ができ、圧倒的な得点力で準決勝ではブラジル相手に7-1と大勝しました(ミネイロンの惨劇)

今大会決勝は前回大会の王者フランスとアルゼンチンの試合でしたが、3-3の撃ち合いで最後はPKという壮絶な
結末でしたね。両チームのスタイルは非常に似ていると思っていて、自己犠牲ができる選手がチームに多く、
メッシが守備をしないことが多い分、他の10人がひたすら走り回って支えるアルゼンチンと、
攻撃にかける人数は4~5枚で、あとはひたすら守備に人数をかけるフランスという構図でした。

2010年頃から長く続いた、ポゼッションサッカーが相手を圧倒する、勝つサッカーだよね~という
雰囲気は、徐々に変わりつつあります。今回の大会では、エムバぺやメッシの圧倒的な攻撃力を活かすために
そういった選手の守備のタスクをなるべく減らし、
数的不利にならないように攻撃の枚数を減らし、カバーしていました。

両チームがそういった戦術を取ることはある程度予想できましたが、特に気になったのは守備です。
前からのプレッシングには、ほとんど行かず、守備のブロックを作って相手をおびき寄せるようなディフェンスが
目立ちました。コーナーキックからのカウンターなどは結構チャンスになっていましたね。

強豪国の代表選手は、普段の所属クラブでは、ボールを取られたら前からプレッシングでボールを奪い返す
スタイルが染みついている選手が多いので、状況によってはそういったプレッシングも可能です。

オフェンスに圧倒的な個を持った選手のいるチームは、その選手を中心に考えるようになっていき、
前からボールを奪うプレッシングは使う場面がより限定的になっていくように思います。

クラブでのサッカーと代表戦のサッカーのスタイルが今までよりもさらに乖離していく、
2極化していく可能性も感じました。そういったこともまた書いていけたらと思います。

KOKI

KOKI

代表です。

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